2/9(火)性教育先進国オランダに学ぶ「0歳からはじまるいのちと生き方の教育」

講師は、リヒテルズ直子さんをお招きして、第6回の講座が開催されました。


講座の事務局である阿部博子さんの開催レポートをご紹介します。

第6回「性の多様性教育 その2 中高生」

前回に引き続き、性の多様性教育をテーマに、中高生向けに行われている性教育について学びました。

授業のための教材は、授業案や資料(生徒用、教員用)、動画など充実した教材が用意されていて、単に生物学的な性の知識だけではなく、相手との関係をどう築くか、どこに自分のボーダーラインを引くのか、日常で起こりうる問題にどう向き合うか、SEXに関すること、避妊や性病に関することなど、小学生よりもより具体的な内容を学んでいきます。

日本では、教えることで性への目覚めが早くなるという考えも根強く、性教育が進んでいない現状ですが、オランダは、何が安全で何が危険かを学ぶことで、自分の身を守ることができるというスタンスでこのような性教育を行っているのです。

そして、性の多様性についても、LGBTQなどのマイノリティに対しての正確な情報が豊富に用意されていて、まずは教員がその知識を持ったうえで生徒たちへの授業が行われています。

教員はただ知識を教えるのではなく、様々な問いを基に生徒たちがディスカッションをして、自分の考えや他者との考えの違いを見つけていくプロセスを大切にしています。

LGBTQってなに?同性愛ってどうしてなるの?何歳くらいでわかるの?カミングアウトって?などの問いがあり、教員は生徒たちの発言に対して時折適切な質問を投げかけ、気づきを与える役割を担っています。

そうして様々な問いに対する疑問や意見を出し合い、頭がアクティブな状態になったうえで、改めて正しい知識を入れていく手法をとっています。

オランダの憲法第1条、「すべてオランダに住む者は平等であり、差別することは認められない」これに基づき性教育が行われており、性教育をきっかけにして、意見や背景が違う相手とどうかかわっていくのか、自分はどう行動していくべきか、自分で判断してモラルの指標を作っていくことを学んでいるのです。

〈今日のキーワード〉
対等であることと同一であることは違う

日本で「差別(LGBTQだけでなく国籍や女性など)」を乗り越えていくにはどうすれば?
というリヒテルズ直子さんからの問い。

一人一人がユニークな存在であることを知る、大人の固定観念を解いていく、対話をする、など様々な意見が出されましたが、そもそも対話をすることが難しいという意見も。

対話には対等な関係であることが必要だけど、日本の家庭、学校、社会などは対等な関係が築けないケースも多い。それに慣れてしまい対等でないことにすら気づかない人もいるし、みんなと同一であることをよしとされる場面も多いため、他者との違いをよいと思えない人たちも多いのではという意見が出されました。

リヒテルズ直子さんは、日本の公教育の今の姿を変える必要性を感じ、性教育を切り口に向き合っているというお話がありました。

日本の公教育の本来あるべき姿とは何だろう。

何を変えていけばいいのだろう。

「まずは大人が遊び感覚で対話の体験し、否定されないことやNOと言える経験をする。自分がありのままでいていいと、大人が自分で体感することができる場ができるといい」という参加者の言葉がとても印象に残りました。

安心安全な場の中で、誰もが対等でいられる環境づくり

同一であることに安心するのではなく、違いを認め合うことで対等でいられる関係づくりを心掛けていきたいと感じました。