2/2(火)性教育先進国オランダに学ぶ「0歳からはじまるいのちと生き方の教育」

講師は、リヒテルズ直子さんをお招きして、第5回の講座が開催されました。

講座の事務局である阿部博子さんの開催レポートをご紹介します。

第5回「性の多様性教育 その1 幼稚園〜小学生」

今回の内容は、オランダでも2012年から新しく義務化された内容「性の多様性教育」がテーマ

オランダの幼稚園から小学校で行われている性の多様性教育を学びました。

自分自身と他者に対して尊重の念をもってかかわる人への発達を目指す、セクシュアリティの領域で責任ある選択ができるような人になる、という目標が掲げられ、他者だけでなく自分も大切にし、また、自分自身を知り、あるがままを受け入れることの大切さを学んでいきます。

LGBTQなどのマイノリティの人たちは、マジョリティが持っているステレオタイプな概念(○○らしく)を押し付けられることに苦しさを感じていることが多く、学校でいじめなどを受けることも多いと言われています。

性的指向が違っていることは、人種や宗教が違うことと同様、自分の意志で変えられないことなので、その人を変えるのではなく、多様性の教育をすることで、学校環境として安全な場を作る努力をしているのです。

その環境づくりのために、やはり専門機関が学校に対して情報提供をしっかり行っていて、差別やセクシュアリティの問題、保護者とのかかわり方など、遭遇するであろうテーマについての様々な知識や経験を共有し、学校が健全な社会的ウェルビーイングを保証できるようになるためのしくみがつくられています。

子供たちへの教材も性の多様性に触れているスライドや動画などが用意されています。

例えば、恋をして付き合うってどういうこと?とか、恋をする相手が同性の場合もある、一人一人恋する相手は違うかもしれない。どれも間違いではないんだよ、ということを動画やスライドで見ることで、性の多様性も含めて話し合う環境が出来上がっているのです。

また、LGBTQの人が自分でその事実に気づき、受け入れ、両親に理解してもらうまでのエピソードがあったり、様々な切り口で性の多様性について触れることができるようになっています。

この年齢でも、ジェンダーイメージやステレオタイプに悩んている子は既にいるので、あなたはあなたのままでいいということをしっかりと教える必要があるのです。

〈自分らしくあるがままに生きるって何だろう?〉

今日とても考えさせられたことです。

「マイノリティだけでなくすべての人があるがままに生きるとは、単にLGBTQの人権を守るということではない。

私たち自身が自分らしく生きるためには、周りのステレオタイプに抵抗して生きていく必要がある。」

「マイノリティや不登校の子など、ステレオタイプに苦しめられている子供たち。その子自身を変えるのではなく、学校社会そのものがその子に合わせ、安全に受け入れることが必要。」

リヒテルズ直子さんの言葉の数々に、胸がズキズキしました。

まだまだ今の日本には、受け入れる土壌が育っていない。

まずは私たち大人が変わるところから。

誰もが安心して自分の意見が言える場、正しさではなく、感じたことを話していい場、言葉にして共有することで生まれる議論。

少しずつでも、大人が実践して土壌を作っていくことが大切だと感じます。