1/26(火)性教育先進国オランダに学ぶ「0歳からはじまるいのちと生き方の教育」

講師は、リヒテルズ直子さんをお招きして、第4回の講座が開催されました。

講座の事務局である阿部博子さんの開催レポートをご紹介します。

第4回 「生殖とセクシュアリティの教育 その2 中高生」

今日で全8回の講義の半分まで来ました。

今回は、オランダの中高生がどのような性教育を受けているのかを学びました。

思春期前の小学生までの段階で、基本的な性の知識を学んでいるので、中高生ではさらに具体的な学びをしていきます。

避妊や堕胎などの性に関する知識のほか、自分の体や情緒の変化、実際に直面する様々な場面でどう対処するかなど、ただ知識を学ぶのではなく、対話を通じて学んでいくのです。

例えば、思春期真っ只中の子供たちに起こりがちな問題(本当にいろいろありますよね)に関する動画がいくつも教材として用意されていて、その動画を見てどう感じたか、自分ならどう対処するかなどをディスカッションする。

ディスカッションする中で、お互いの文化的違いや環境の違いからくる性意識の違いに気づいたり、その性意識の違いからボーダーラインの引き方に違いが出ることにも気づくことになるのです。

前回の小学生への性教育でもそうでしたが、中高生向けにも、国や信頼できる機関で用意したWEBサイトを通じ、性に関する正しい情報に簡単にアクセスすることができるようになっています。

検索サイトで、信用できるかどうかわからない情報を検索する必要もないのです。

そして、学ぶ雰囲気。様々な問題に直面することはあるけど、性は普通の人の生業として大切なものであるとして、決して性のことを否定しない姿勢が取られています。

〈今日の講座で印象に残ったこと〉

問いを考え続ける訓練が大切

日本の教育は、答えのある問いに答えることが多く、知識を得るだけの教育になりがち。でも本当に大切なのはその知識をどう活かしていくのかの教育。

世の中には結論の出ない話がたくさんあり、その人の価値観によって結論も違ってくる。けれど、結論は出なくても話しているうちにお互いの立場が見えてくるようになり、その人の考え方や気持ちが見えてくるようになる。

価値観の違う人間がどう共生していくかは、対話をし、答えのない問いを考え続ける訓練が大切である。

お互いの価値観を認め合い、お互いを大切に思うためにも、対話を通じて理解していくことが必要だなと思いました。

そして、私たちに今何ができるのか――

オランダの性教育は全体の大きなしくみがあるからできている。

部分だけを切り取ってすることではない。

草の根の活動をするにしても、大切なことは大きなビジョンを持って行うこと。

自分の子供のためという目線ではなく、社会のためを考え、お互いの知恵を持ち寄り横のつながりを持って、活動を広げていくことが必要。

というリヒテルズ直子さんの言葉が心にずしんと響きました。

参加者との質疑応答も白熱し、今回もリヒテルズ直子さんの熱い思いがビシビシ伝わる会でした。